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TODAY’S ADVICE
不眠症で夜、眠れない方へ
 

今週も1週間、頑張ってまいりましょう。ここにきて、失恋や離婚の悩み、浮気や不倫の悩みを抱えて不眠症になっておられるお客様が多いですので、今日はその不眠症に関してご案内致します。

 不眠症とは、慢性的に眠れなくて困ること。原因として、騒音などの環境、一過性の精神的ストレス、うつ病や神経症などの精神疾患、喘息薬やホルモン剤による薬物、加齢による生理的変化などがあります。
 眠りたいのに眠れないのは確かに辛い体験です。 しかし個体保存の原則からして、眠りが浅く途中で何度も覚醒する事は、自然界において天敵の接近に早期に気づく防衛態勢としてのいい面もあるようです。同じような観点にたつと、高齢者にみられやすい「浅い眠り」などは、高齢というハンディに対する自己防衛機能ともとれなくありません。不眠症は、たとえば大地震発生でも逃げ遅れないための備えといえるかもしれません。
           
『睡眠の生理学』 

 人間の体には、時を刻む体内時計があります。睡眠の日内リズムには、脳の中にある松果体から分泌されるメラトニンが一躍かっているという点が明らかにされています。この松果体は、思春期の二次性徴の発現にも関与しています。小児期に松果体が腫瘍などで破壊されると思春期早発症という病気が起こるのです。松果体はまさに短期、長期の体内時計の中心場所なのです。メラトニンという物質は、人に眠気を催す作用があると言われています。ちなみに、メラトニンは米国ではすでに普通のビタミン剤なみに、一般の薬局でも自由に買える商品になっています。このメラトニンには食欲抑制作用もあるとされています。
 人間が眠り込むチャンスは、およそ1時間半(90分)ごとの周期で回ってくる事が、最近の脳生理学によって明らかになっています。睡眠関連物質であるメラトニンの分泌量もこのサイクルと深く関連しているようです。そのため一度入眠を失敗すると、次に入眠できるのは、その約90分後まで待たねばならないという計算になります。 俗にナポレオン睡眠と言われるように、人によって必要とされる睡眠量は異なるようです。8時間眠らないと満足しない人、4時間位の睡眠でなんなく仕事をこなしている人など様々です。一般に睡眠不足は健康維持にマイナスと言われますが、では睡眠の「過剰」はどうでしょうか。食事量や運動量も不足はよくありませんが過剰もまた問題とされるのは周知の通りです。睡眠の場合はどうなのでしょうか。残念ながら、まだそこに焦点を当てた医学研究はないようです。このように睡眠の作用についてまだまだ分かっていない事は多いのです。たとえば、高齢者では加齢とともに睡眠は浅くなります。加齢とともに自然と浅くなっていくように出来ている睡眠パターンを、わざわざ睡眠薬で深く眠らせることに本当に利があるのかどうか。つまり、自分の睡眠はこうであるべきと「べき思考」で不眠に過剰に神経質なるのも問題だろうと言うことを、ここで述べておきたいのです。
  「夢を見て眠れない」という人がおられます。しかし、夢は眠りの中にあるからこそ見ることができるのです。夢の効能については、フロイト以来種々の説があります。現代でも心理学の世界では、夢は日中のストレスに対する浄化作用、ストレスの発散作用などの理論で、夢を肯定的に受けとめられる説が主流のようです。



『不眠の分類』


 不眠は1ヶ月以内の短期不眠と、それ以上にわたる長期不眠に分けられます。その原因から、騒音や寒さ・暑さ等の環境要因によるもの、悩み事やうつ病等の内的な心理要因によるもの等に分類する事も可能です。 ここでは、長期不眠を症状から分類して述べます。

症状による不眠の分類

入眠障害
 
いわゆる、寝つけないタイプの不眠。床についてから入眠するまでに、1時間以上を要する場合をいう。睡眠相遅延症候群なども、このパターンを示す。
 
途中覚醒
 
 夜間に何度も目が覚める場合をさす。途中覚醒後、比較的早く睡眠に戻れる場合と、朝方まで眠れない場合がある。

熟眠障害

 睡眠時間は比較的長くとれているが、熟眠した気がせず、翌朝も睡眠不足であるような心身の疲労感、眠気などを感じる。睡眠時無呼吸症候群でも同様に熟眠感が得られにくい。

早朝覚醒
 
 早朝に目が覚めてしまう状態。高齢者では、夜早く就眠することが原因であったり、加齢に伴う生理的な変化による場合がある。早朝覚醒は、うつ病者に見られやすい不眠パターンでもある。

いびき

 大きくイビキをかくなど、周囲の誰が見てもよく眠れているのに、本人だけが殆ど(あるいは全く)眠れなかったと訴え、事実に合わない形で不眠恐怖のようになっている場合をいう。

『睡眠薬について』
 
(1)眠剤についての最低限の知識

 睡眠薬使用の際、まず問題になるのは、服薬者の睡眠薬に対する不安感や不信感でしょう。依存性が出てやめられなくなるのではないか。段々効かなくなり量が増えるのではないか。体や脳に悪影響を及ぼすのではないか、などの不安がよく述べられます。また事実として、朝に作用が残って「気だるい」と訴えられる方も多くおられます。風邪薬や胃腸薬ならほとんど抵抗なく呑む人でも、こと睡眠剤となると極端に毛嫌いされる事が多いのです。 
さて、それらの副作用に関して事実はどうでしょう。

 答えは、睡眠薬に限らずどんな薬にもおそらく副作用はあり、呑まないにこした事はないのです。しかし以下の点も併せてお読みください。

うつ病であれ、パニック障害であれ、神経症であれ、睡眠不足はそれら症状の悪化要因として作用するのも明瞭な事実です。 ですから、睡眠を充分に摂ることによって心理的な緊張や抑うつが生理的なレベルで癒やされ、それが周り回って自然な睡眠を回復させる事につながるのです。その限りにおいて、奇異に思われるかもしれませんが睡眠薬は正常な睡眠パターンを回復する有効手段として位置づけられるのです。

 現在多くの病院で使用されている睡眠薬の主流はベンゾジアゼピン系の薬剤です。これは安全性が高く、医師の指導に従って正しく服用されている限り脳や内臓に悪影響を及ぼすことはありません。非常にまれにアレルギー反応等を生じることもありますが、他の胃腸薬や高血圧の薬剤に比してその発生率は高いものではありません。

 呑んでいるうちに薬剤耐性が高まって量を増やさざるを得ない、という事態も実はまれな現象なのです。特にベンゾジアゼピン系の睡眠薬は耐性ができにくいとされています。他の薬剤と比較してみるならば、狭心症や高血圧などの薬剤の方が遙かに耐性ができやすいのです。

 高齢者においては、薬物の排泄機能が生理的に低下している事もあり、昼間に眠気が持ち越されたりボーッとされてしまう事があります。このような場合は、量や内容の選択を医師に再考してもらわねばなりません。

 若年者で、「眠剤のために朝まで眠気が持ち越されて困る」という場合には、服薬時間が遅すぎたり、身体感覚への過剰な注目(すなわち感受性亢進・身体過敏)が認められたりします。この場合、身体感覚への過剰注目という点の修正についても検討する必要があるでしょう。

(2) 睡眠薬の種類

 睡眠薬は、その作用時間によって、以下の表のように大きく4種に分けることが出来ます。各薬剤に対応する不眠のタイプを一応併記しておきます。しかし人によっては、この表の通りにうまく薬とかみあわない場合もあるでしょう。今の眠剤がどうしても合わないという場合は主治医の先生とよく話し合って、いくつかの薬剤を試してみるのもいいでしょう。 デパス、セルシン、コンスタン、ワイパックスといった精神安定剤を睡眠薬がわりに服用されている方も多いと思います。睡眠薬よりもそれらが合っている場合は、それで問題はありません。

作用時間による分類

●超短時間性:入眠困難(寝つけない)なときは、ハルシオン・アモバン・マイスリー

●短時間性:入眠困難、途中覚醒、早朝覚醒なときは、レンドルミン・エバミール・ロラメット・リスミー

●中間型:途中覚醒、早期覚醒、浅眠なときは、ネムナミン・エリミン・ネルボン・ベンザリン・ロヒプノール・サイレース・ユーロジン

●長時間性:ダルメート・ソメリン・ドラール

 上記の睡眠薬の殆どは安全性の高いベンゾジアゼピン系です。上記の薬でも眠れない頑固な不眠症には、バルビタール系薬剤やベゲタミンなどの合剤が使用されます。

(3)睡眠薬使用時の注意

 睡眠薬は、服薬してから腸で吸収されるまでに最低でも20分は要します。そのため床につく30分〜1時間前に服薬するのが効果的です。

 睡眠薬は眠り込むための薬ですから、服薬してから家の中をウロウロ動き回ったり、外出したりしない事。まして服薬後の車の運転は厳禁です。特に高齢者ではふらついて転倒することもあります。一部の睡眠薬は筋肉の緊張をゆるめる作用を併せ持っており、これも高齢者が転倒する一因になります。

 朝の起床時まで作用を持ち越さないために、遅くとも12時迄(できれば11時迄)に服薬する事。
眠れないからといって深夜2時頃に服薬したりすることは避ける事。どうしてもそのような深夜帯に服用するのであれば、常用量の半分以下の量に減らす必要があります。作用が朝に持ち越されるからです。

 しばらく続けていた睡眠薬を自己判断で急に中止すると、反跳現象といって、時に強い不眠や心理的緊張が現れる事があります。薬を止める場合は、薬の1/4ずつを1〜2週の間隔ごとにゆっくり減薬していいます。

 アルコールを同時に摂取すると健忘(服薬中の出来事を忘れてしまう)が現れることがあります。特にハルシオンは有名ですが、他の睡眠薬でも同様のことが起きる可能性があります。

 妊娠中および妊娠の可能性がある場合はなるべく服薬はやめておきましょう。

日常の不眠対策

睡眠薬を用いない、あるいは用いながらの睡眠促進法について

◆眠前にホットミルクを飲む

床に入る前にコップ1杯の、人肌に暖めた牛乳を飲みます。実際にこの方法で睡眠薬から離脱された患者さんは多くおられます。
 これは比較的よく知られた方法ですが、その効果の主な理由としてふたつ考えられます。

1) 牛乳に含まれるカルシウムが、神経を落ち着かせてくれる。カルシウムは夜間に腸管からの吸収効率が高まるとも言われています。

2) 牛乳のほのかな匂いが、乳児期に記憶された母親のオッパイを本能的に連想させそれが心地よさを誘い入眠しやすくなる、というものです。

◆入床時、腹式呼吸などリラクゼーション法を行う。

リラクゼーション法については、当ホームページ内の「自己治療のヒント」のページの記載を参照してください。なかでも、もっとも身近な方法は腹式呼吸であり、これを数分くりかえすと心身が落ち着き、入眠の準備状態ができあがります。

◆眠気を感じたら、時期を失せずに床につく。

人間の入眠サイクルは時間的に90分おきにやってくると、大脳生理学が解き明かしています。そのため入眠のタイミングを失うと、理屈的には次の入眠チャンスまで90分待たねばならないということになっています。しかしこれは、それほど厳密なものではなく、およその身体のサイクルがそのようになっているということであり、20分後や40分後に絶対に眠れないということではありません。ただ、不眠症の人が少しでも眠りやすくなるために、このような生理学的な理屈を利用することが得であるということなのです。

◆床に入る直前は、過度に脳を使う作業を避ける。

 入眠寸前まで難しい難解な勉強や緊張する作業をおこなっていれば、脳は過覚醒状態となり睡眠への早急な切り替えが難しくなります。眠くさせるためにワザと難しい本などをベッドで読む場合は、おそらく本気で脳が過覚醒とならないので、これは役立つ場合もあるでしょう。

◆眠前の喫煙・カフェインは避ける。

これは述べるまでもない当たり事のことですが、このような習慣の弊害を承知の上で行いながら不眠に悩むという人は、おそらく日常生活全体のチェックが必要でしょう。

◆昼、体や心を適度に疲労するように心がける。

適度な疲労が睡眠には不可欠です。不眠で悩まれている方は、おそらく心理的にイライラされている場合が多いようですが、頭ではなく身体的な疲労感を持つように適度な運動が必要です。また、長時間の昼寝は夜間の睡眠にとってマイナス要因になりますが、逆に短時間の昼寝(30分〜1時間)は夜間の睡眠にプラスになると最近報告されるようになりました。

◆体を熱くしてベッドに入らない。

体が温まりすぎているときは入眠は難しくなります。熱い風呂のすぐ後や運動直後は体が温まりすぎているために入眠がうまくいかないことがあります。元々入眠前後の時間は、体温が徐々に低下しつつあるので、それに逆行するような体を温める行動は不眠のもとになります。それゆえ寝る前の風呂はヌル目にして入ること。就寝直前に汗の出るような運動も控えるべきでしょう。、
    
◆他の病気と、ただの不眠を混同しないこと。

下記のような病気が、単なる不眠症と混同されやすいので注意してください。
    
(1)睡眠相遅延症候群:

毎日少しずつ、1日のタイムサイクルがずれ、入眠時や覚醒時刻が後退していく病態です。しだいに昼夜逆転の生活に移行せざるをえなくなり、朝も起きられず不登校などの事態に発展することもあります。専門的な診断と治療が必要です。
    
(2)睡眠時無呼吸症候群:

咽頭部近辺の生理的な狭窄(狭くなる)により、睡眠時に一時的に窒息に近い状態が引き起こされ、眠りがその都度中断されるという病気です。「眠りが浅い」「寝た気がしない」「熟睡感がない」という訴えがでやすくなります。肥満者、深酒でよく発生します。突然死の原因になることもあると言われます。専門的な診断と治療がぜひ必要な病気です。
    
(3)うつ病に合併する不眠

うつ病者に不眠は必発します。そして、うつ病の不眠の特徴は早朝覚醒が中心です。ある時期から早朝覚醒が生じ、気分的な落ち込みや意欲も低下している、身体的な疲労感も強いという状態なら、うつ病の存在を疑ってください。



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